別居

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  1. 別居の長所・短所
  2. 別居・離婚は、先に言いだしても有利・不利に関係ない
  3. 「別居5年で離婚できる」という法律・判例はない
  4. 別居したいのですが
  5. 別居の言い方
  6. 別居の際に手紙は書くな
  7. 転居先に注意すべき事
  8. 住民票の移動
  9. 別居の際の財産持ち出しの注意事項
     

別居の長所・短所


別居の長所

 1 相手の暴力から逃れることができます。
  2 相手の顔を見ない事により、夫婦喧嘩もなく、穏やかな生活が送れます。
 
3 子供も、家庭内暴力・夫婦喧嘩を見ない事により、精神的に安定してきます。
 4 夫婦の対立を一時的に先送りする事により、冷却期間としての効果が期待できます。
等があります。


別居の短所

 1生活費(婚姻費用)支払の約束が出来ていないと、経済的に苦しくなります。
  約束が出来ている場合でも、二所帯に分かれる事で、経済的に苦しくなります。
 2 不貞その他の証拠・共有財産等を押さえる上で、同居に比べ条件が悪くなります。
  3 「去るもの日々(ひび)に疎(うと)し」の格言通り、夫婦の心が離れ、離婚に至る例が多い。
 4 生活費・養育費の送金が滞る例が多い。
 5 相手に愛人がいる場合、別居=離婚となりやすい。
 6 別居=破綻と認定されないように、別居前に周到な準備をしておく必要がある。
 等があります。

     

別居・離婚は、先に言いだしても有利・不利に関係ない


 別居・離婚について、「先に言い出した方が不利」と誤解している人が多いのですが、そういう事はありません。
 例えば、相手が浮気をしているので、自分から別居・離婚を言い出した。で自分が不利かと言えば、そんな事は絶対ありません。
 「別居・離婚についてどちら側に正当理由があるのか」という観点から判断します。
 相手が浮気をしているので夫婦喧嘩が絶えない。それ故、自分から別居・離婚を言い出した。相手に不貞行為がありますから、相手に慰謝料を請求する事ができます。

     

「別居5年で離婚できる」という法律・判例はない


「別居5年で離婚できる」は誤解

 そういう法律はありません。民法改正の過程で論議された事が、誤解を生む原因になっているようです。
 「一定の別居年数で離婚を認めよ」という論議は確かにありましたが、「そんな事を法制化したら、世の中には夫が愛人を作って勝手に家を出て行った例が多いのだから、自動的に離婚されてしまう気の毒な本妻が多数出てきても良いのか」という強い反論があり、法制化は見送られました。
  ただし、本当に5年も別居していれば、双方とも復縁は難しいことは分りますから、離婚話は金銭的条件次第で成立しやすいとは言えます。



民法に「一定の別居年数で離婚を認める」という規定はない

  民法は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」(民752)と同居・協力・扶助義務を定めています。
 従って正当な理由もなく勝手に家を飛び出た場合、相手方の再三の復縁・同居の要求を拒否し続けますと、同居義務違反・夫婦関係破綻の責任を問われます。
 調停・裁判など、出る所に出た場合、第770条 [裁判上の離婚原因]第1項第5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すると主張されます。


    

別居したいのですが


別居には正当な理由が必要 夫婦には同居義務があります。正当な理由もなく勝手に家を飛び出た場合、相手の再三の復縁・同居の要求を拒否し続けると、同居義務違反・夫婦関係破綻の責任を問われます。
 後々の紛争にそなえ、別居の正当な理由と立証出来る証拠を準備してください。

別居に際し  夫婦でおだやかに話し合い、正当な理由(例 相手の浮気)を主張し、復縁のための冷却期間である旨説明し、おだやかな協議で別居するのが一番です。

【例】 妻が浮気をしたあげく、愛人と駆け落ちした。この場合、妻は正当な理由もなく勝手に家を出たわけです。妻が「夫は離婚成立まで生活費(婚姻費用)を送ってくれない」といって、夫に「悪意の遺棄」を主張する事はできません。


     

別居の言い方


離婚の第一歩は別居から−嘘も方便
 取りあえず、
 「あなたの浮気には疲れた。離婚までは考えないが、しばらく別居して一人で考えたい」
 「しばらく実家に帰りたい。あなたの反省する態度に納得できたら、又戻ってきます」
と「離婚」とは言わず、「正当な理由のある別居」、「復縁の含みのある別居」、「復縁の為の冷却期間」を主張する事により、物の言い方・相手の受け止め方が大分変わってきます。

 しばらく別居した後で、自分の離婚の意志に変化がない場合は、本人同士又は第三者(親兄弟・仲人等)を通じて離婚の話を進めれば良いのです。
 別居の既成事実があれば、離婚話もスムースになるはずです。

     

別居の際に手紙は書くな


手紙は書くな

   別居の際、又は離婚申し出の際、自分の気持ちを相手に十二分に伝えようと、長文の手紙を書く人がいます。 たいていの場合、余計な事まで書きすぎてしまいます。悪い事にほとんどの相手が大事な手紙は保存しています。
  夫婦間の離婚協議が成立せず、離婚協議の場が調停・裁判に移行しますと、相手が有利な証拠として「あなたの手紙」を提出してきます。

 伝えたい事があれば、不利な証拠が残らないように、口頭・電話で伝えます。
 どうしても必要な場合は、必要最小限の要点のみのメモ一枚を書くこと。
 又、書いた手紙・メモ類は必ずコピーを取っておきます。こちらにもコピーがあれば、相手が証拠として調停・裁判に提出してきても、あわてないですみます。
 あなたが依頼した弁護士が一番困るのは、あなたから何も聞いていなかった、あなた自身の自筆の不利な手紙が、突然裁判証拠として相手側から提出されることです。


     

転居先に注意すべき事


転居先を検討する場合

  第一に、自分の会社への通勤距離・通勤時間。
  第二に、子供がいる場合、子供を預ける場合は施設との距離、実家の親に援助を頼む場合は実家との距離、子供が学校を変わりたくないという場合は学区内、等の考慮事項。
  第三に女性の場合は、アパートの一階は避けて、二階にする等、一般的な引越の原則。
等を考慮して選びます。
  一般的には、「実家」あるいは「実家の近所のアパート・マンション」が良いでしょう。
  生活面で親族の援助も期待できますし、相手にとっても別居に安心感があり、別居がスムースに進行する可能性が高いからです。



妻が経済的な理由で転居先がない場合

  世の中には、「夫が収入を渡さないので生活できない」、「夫が暴力を振るうので逃げ出したい」と考えていても、「実家には頼れない事情がある」、「経済的な理由でアパート・マンションを借りられない」という気の毒な女性もたくさんいます。
  このような場合の駆け込み寺は、先ず第一に地方自治体、第二に民間の相談機関です。

  配偶者暴力支援相談センター

     

住民票の移動


住民票―移動しても良い場合

別居の状況が、
 1 離婚の意志が固い。
 2 夫が別居先に追いかけてきて暴力を振るうタイプの男性ではない。
 3 話し合いの結果の正々堂々たる別居である。
 4 別居に正当な理由があり、証拠もあり、別居後に婚姻費用分担請求の調停申立をしても、勝つ見通しがある。
 5 子供の学校の問題がある。
等の場合は、住民票を別居先に移した方が良いでしょう。
 理由は、離婚話がこじれた場合、住民票の移動で分かる別居期間が、後で夫婦関係の破綻時期・状況を公的に証明する書類となるからです。


住民票―その侭にしておく場合

  別居の状況が、
 1 復縁の意志が強く、戻る可能性が高い。
 2  夫が暴力を振るうので、離婚が成立する迄、住所を隠したい。
等の場合は、住民票を別居先に移さずその侭にしておきます。
 但し選挙の投票券は住民票の住所に郵送されますので、選挙は棄権する事になります。

  子供を引き取っての別居で、子供の転校の問題がある場合、公立小中学校(義務教育)の場合は、学校側に家庭の事情を言って「住民票が動かせない」旨相談してください。


調停申立の住所

  住民票は旧住所で家庭裁判所に調停申立をする場合には、「夫婦関係事件調停申立書」に旧住所を記入し、家庭裁判所に事情を述べて、書類の送付先だけを別扱いにしてもらう「上申書」を提出します。


     

別居の際の財産持ち出しの注意事項


民法が定める特有財産・共有財産


民法第762条 [特有財産、帰属不明財産の共有推定]
  夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その
特有財産とする。
夫婦のいずれに属するか明かでない財産はその
共有に属するものと推定する。

 特有財産=結婚前から持っていた財産(預貯金・家具等)、結婚中に相続・贈与等で
        自分名義で得た財産。離婚に際し、財産分与の対象外となります。
 共有財産=婚姻中、夫婦共同名義で購入した財産。共同生活に必要な家具類。
        夫婦のいずれに属するか明かでない財産は、共有財産と推定します。
        離婚に際し、財産分与の対象となります。



別居前に財産リストを作成

  別居後に争いが生じないように、別居前に財産リストを作成しておきます。
  法律を拡大解釈して、所属のあいまいな物は極力共有物と見なし、共有物を先に占有した方が有利となります。
  但し、家財道具一切合切を持ち出しますと、こじれる原因となりますので、相手の愛用していた物、寝具、衣服・下着等は残します。
  共有であるが名義だけ夫になっている不動産の権利証・株券の預り証・車の車検証等は、一旦持ち出します。話合いの際、コピーを渡し、夫婦の共有財産である旨主張します。



財産は自分の管理下においてから交渉する方が有利

 共有財産である預金通帳・印鑑は(蓄財の経過、金額にもよりますが)、別居の際に持ち出し、こちら側の管理下においた上で、話し合いをします。
 私のお客様の事例では、
 1 共有財産の総額がリストで明確である事。
 2 相手の不貞の証拠を押さえている事。
 3 財産分与額・慰謝料・養育費等の協議成立後、管理していた預金通帳等の財産の一部を返還する事で終了。取り立ての手間が不要。
等から、一般的な離婚協議よりも解決が早く、かつ有利になるようです。



住居不法侵入罪・窃盗罪

  離婚届は出していないので法律上は夫婦だが、婚姻は完全に破綻して永年別居中の相手の家に、カギ屋を呼んでカギを開け、自分の物(特有財産)を持ち出す行為は、自分の物であっても、刑法の住居不法侵入罪・窃盗罪になります。



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