離婚届不受理申出

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  1. 離婚届不受理申出
    1. 「離婚届の不受理申出」とは       
    2. 「離婚届の不受理申出」の手続    
    3. 「離婚届不受理申出」のサンプル

  2. 離婚届提出前後の対処策
    1. 「離婚届」届出前の対処策    
    2. 「離婚届」届出後の対処策    
    3. 事例    
    4. 関連条文
 

離婚届不受理申出

     

離婚届不受理申出とは


離婚届の不受理申出書

  相手方配偶者(妻又は夫)と離婚の話合いを進めている最中に、
1.相手のヒステリックな、あるいは暴力的な要求等で、つい離婚届に署名押印してしまった。が気持ちが変わってやはり離婚したくない。 
2.相手から、訳の分らない理由で離婚要求を受け、話合いをしているが、相手が離婚を急いでおり、離婚届を偽造し届出する恐れがある。
 等という状況が生じる場合が稀にあります。
                           ふじゅり もうしでしょ
  こういう場合、市区役所に行き離婚届の不受理申出書を届出しますと、相手が離婚届を届出したとしても、その受理(=離婚の成立)を止めることが出来ます。
  又、離婚届不受理申出書の受理が「提出時点で離婚の意思がなかった事の証明」となりますので、離婚届不受理申出書はコピーした上で提出してください。

離婚届に署名押印した不利益  一度は離婚届に署名押印したという事実は、離婚裁判になった場合、本人が考えていた以上に重要視される場合があります。
  現在の破綻(はたん)主義の判決の傾向の中では、離婚届に署名押印等という行為があれば、婚姻の破綻時期の認定の際に良い材料とされてしまいます。
  離婚届に署名押印する前後の経緯にもよりますが、署名押印後に相手の不貞に気づいて証拠を確保しても、「不貞行為は婚姻破綻後の行為であり、婚姻を破綻に至らしめた原因と認められない」(=不貞行為と婚姻破綻の間に因果関係はない)と認定されますと、相手の不貞(有責行為)の証拠があっても慰謝料請求が認められない場合があります。

離婚届に署名押印は絶対しない
  離婚の意思が全くない場合離婚の原因が納得できない場合、又は離婚については同意しているが離婚条件が未だ合意に達していない場合相手から何を言われても離婚届の署名押印は絶対にしてはいけません

離婚届の偽造・提出
  刑法第159条[私文書偽造等]、第161条[偽造私文書等行使]、第157条[公正証書原本不実記載等]等に該当します。

  
離婚届不受理申出の手続

離婚届の不受理申出の窓口   「離婚届の不受理申出」の用紙は市区町村役場の戸籍係窓口でもらえます。記入には、氏名・住所・本籍・印鑑が必要です。
  「離婚届の不受理申出」の提出先は、本籍地又は夫婦の所在地(住民票のある場所。無い場所でも可)です。本籍地以外の場所で提出し場合は本籍地に連絡がいきます。

「離婚届の不受理申出」の有効期間  6ヶ月です。期間満了毎に更新手続きをする必要があります。


「離婚届」を提出する場合
  離婚の話合いが成立し、「離婚届」を提出する場合、「(離婚届の)不受理申出の取下書」を提出して取下げ手続きをした後、「離婚届」を提出します。

  

離婚届不受理申出サンプル


 不 受 理 申 出

 平成 年 月 日申出
 受付 平成 年 月 日
 発収簿番号 第   号
 整理番号   第   号
発送平成 年 月 日 

     板橋区長印
 送付 平成 年 月 日
 発収簿番号 第   号
 整理番号  第   号
 不受理期間終了日

 平成 年 月 日
 書類調査  戸籍調査 
 届 出 事 件 の 種 別 離  婚  届
 不 
 受 
 理 
 処 
 分 
 を 
 す 
 る 
 届 
 出
 氏    名
 生 年 月 日
 板 橋 太 郎   
    年  月  日
 板 橋 花 子  
    年  月  日
 住    所
(住民登録をしているところ)
 東京都 板橋区 志村
  2丁目○○番○○号
 東京都 板橋区 志村
  2丁目○○番○○号
 本    籍  東京都 板橋区 志村
  2丁目○○番地
 東京都 板橋区 志村
  2丁目○○番地
申出理由   □届出の意思がなく、届書に署名押印したこともない
□届書に署名押印したがその後届出の意思をなくした
          
 不受理期間(上記届出について不受理の取扱いをする期間)    □ 本申出書受付の日から6箇月間
□ 本申出書受付の日から□年□月□日まで
  (6箇月を超えないようにすること)
 
 の
 他
                                               
上記届出が不受理期間中に提出された場合には、これを受理しないようお願いします。
  申  出  人    
  署 名 押 印
                  印 
  連  絡  先    
 (連絡方法の希望)
                 電話  
(希望                 )
  

離婚届提出前後の対処策

  

離婚届 届出前の対処策


届出前の対処策

  自分が署名捺印した後、翻意した離婚届にせよ、相手方が偽造した離婚届にせよ、形式さえ整っていれば、市区役所に提出・受理され、離婚が成立してしまいます。

  一般的に、離婚を希望する側は、離婚したいから金銭給付・親権等などの条件に応じるのであって、たとえどんな形にせよ離婚が成立してしまえば、離婚後の財産分与・慰謝料請求には、誠意を見せなくなります。
  こちら側としては、離婚成立後に相手方に請求しても、「条件を呑まないのなら離婚しない」という強権発動が出来ませんので、弱い立場になります。

 又偽造離婚届を提出された場合には、協議離婚無効確認の調停・提訴などと面倒になるので、「離婚届の不受理申出」を届け出て、届出を阻止した方が簡単なわけです。

1.市区役所に行き「離婚届の不受理申出」を提出する
  これは実際に離婚の成立を止めるのと同時に、市区町村役場が発行する受理証明書がその時点で離婚の意志がなかった事を証明しますので、後に裁判になった場合、婚姻破綻の時期を特定する際に役立ちます。

2.相手方に急いで「離婚の承諾の取消」、「離婚届の不受理申出書の届出」を通知する
  別居中の場合は、相手方に対し、感情的な余分な事は一切書かないで、簡潔明瞭に「離婚の承諾の取消しの意思表示」と「離婚届の不受理申出書の届出」を伝える手紙・メモを作成、コピーを取った上で郵送します。
  同居中の場合は、同一内容を、相手方に対し必ず口頭又はメモで必ず伝えてください。
  この相手方に対する通知がないと、相手方は離婚届に署名押印後は「婚姻は破綻した」と認識していますから、署名押印後の不貞行為に対し責任を問えなくなります。
(→署名押印後に、探偵が証拠を押さえても、慰謝料請求が認められない)
  は相手に無断で出来るのでやり易いが、は相手がマジ切れするので出来ない、という人が多いのですが、が出来なければ、は全く無意味とは言わないですが意味がなくなってしまいます。


              [例] 離婚の承諾を取り消す手紙

 板橋花子殿

  私は、平成○○年○○月○○日、貴女の度重なる要求により、つい離婚届に署名押印してしまいましたが、離婚は私の本意ではありません。
  ここに「上記行為を取り消し、離婚はしない。結婚生活を円満に継続する為の話合いを希望している」旨連絡させていただきます。
  尚、○○月○○日、板橋区役所に「離婚届の不受理申出」を提出しましたので、上記離婚届は破棄されたくお願い申し上げます。

平成○○年○○月○○日            
          東京都板橋区志村○丁目○○番○○号   
                      板 橋 太 郎   印   


手紙の取り扱い
  離婚話が出た後での手紙等のやり取りは、相手は手紙等を必ず保管しており、後に調停・裁判などになった場合、殆どの相手が証拠として提出してくると思っていて間違いありません。
  手紙などには、不利になる事は一切書かない、投函前に必ずコピーを取って保管しておく事が必要です。

3.探偵に依頼する場合、証拠を確保する迄、婚姻が破綻に至らない状況を維持する
  私どものお客様の場合、「相手が浮気をしているという確信はないけど、現在の夫婦関係が旨くいってない状況の上に、更に浮気の証拠が出たら離婚もやむを得ない」、「本音はもう離婚したい」という方がお見えになります。
  私どもは、そのようなお客様でも、証拠を確保するまで、「別居はしない」、「離婚の話はしない」、「たとえ別居中であっても婚姻費用は送金する復縁を迫る」など婚姻関係を維持するようお願いしています。

  「離婚届の不受理申出」、「離婚する意志のない手紙」、「婚姻費用の送金」など全ては婚姻関係は破綻していない事を立証する為の準備であり、私どもが押さえた証拠(相手方の不貞行為)が婚姻破綻前の証拠である事を証明する為です。
  不貞行為が、破綻前の行為なのか、破綻後の行為なのか、というのは重要な問題で、離婚・慰謝料請求の行方を左右し、天と地ほどの差が出ます。

「不受理申出」を提出した申出人の有利不利

  「離婚届の不受理申出」を提出した側が、必ずしも善意の被害者とは限らないので、申出人が調停裁判で必ず有利な立場に立つとは限りません。
  極端な例では、夫婦間の協議がまとまり慰謝料も受領した妻が、「不受理申出」を届出て、離婚届提出(=離婚成立)を妨害する事例もあるからです。
  調停・裁判の場では、婚姻の破綻の経過、不受理申出の提出前後の経緯、申出提出の正当理由の有無等が詳細に検討されます。

  

離婚届 届出後の対処策


届出後の対処策

  「離婚届の不受理申出」を届出ないでおいたら、相手方が勝手に離婚届を作成・届出、受理されてしまったという場合には、下記のように対処します。

復縁を希望する場合、家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停を申立て、婚姻継続・復縁を求めます。
本音はこちらも離婚を希望している場合、家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停を申立て、離婚条件(財産分与・慰謝料・養育費等)をつめた後、離婚届を追認(ついにん)します。(届出時点に遡(さかのぼ)って離婚を有効と認める)

  自分一人で私文書偽造・公正証書原本不実記載等の刑事告訴をチラつかせて相手方に財産分与・慰謝料等を請求しますと、調停・裁判の場では、相手方は必ず脅迫されたと主張します。
  調停を利用しない場合は、自分は交渉の前面に出ず、冷静な第三者たる仲人・弁護士に依頼した方が良い場合があります。

  

離婚届不受理申出の事例


妻の不貞・離婚要求で、夫が「離婚届の不受理申出」を届出 弊社のお客様(夫)の事例では、妻が突然大した理由もないのに離婚を言い始め、再三再四余りにヒステリックに離婚届の署名押印を要求するので、夫に離婚の意思はありませんでしたが、妻を大人しくさせるつもりで離婚届に署名押印しました。
  所が双方の親も特別相手方に問い質すこともなく保証人欄に署名押印してしまいました。
  夫は離婚届の用紙を区役所に提出せず、自分で保管、握り潰しました。
  その後、妻は実家に戻りましたが、自宅・実家共都内であり、これまでにも妻は頻繁に実家に戻っていたこともあり、夫はこの事態を「別居」、「婚姻の破綻」、「離婚」とは認識していませんでした。

  妻の余りに性急な離婚の要求に不審を感じた夫は、弊社に調査を依頼しました。私どもは夫の状況説明を聞いて、妻の最近の行動、唐突な離婚要求などから、妻の浮気にほぼ間違いないと判断。
  私どもは、夫に早急に下記事項をするように指示しました。
  1.区役所に「離婚届の不受理申出」を提出すること
  2.相手方に対し急いで「離婚の承諾を取り消す」旨を手紙で通知すること

妻は自分の不倫を棚に上げ、離婚調停申立、離婚裁判提訴  調査の結果、妻は知人の男性と不倫をしている事が判明。その後、夫婦間で話合いを続けましたが、話合いは合意に達しませんでした。
  妻(有責配偶者)は、家庭裁判所に離婚調停を申立ててきましたが、調停は不成立。
  妻は自分の不貞を棚に上げ、裁判所に離婚を提訴してきました。

判決は「不受理申出」に触れなかった
  裁判は原告(妻)側のペースで進められ、最終的に裁判官は「(夫側が反論した)妻の不貞行為は婚姻関係を破綻させたものと認定できない」として不問に付し、妻側の離婚請求を認容しました。

  「…ところで、前記認定のとおり、原告(妻)と訴外○○(妻の愛人の男性)との関係は男女の関係と推認されるが、右関係に入った時期は特定できず、原告と被告が離婚届に署名をし、別居した後の可能性もある。
  とすれば、原告(妻)が訴外○○(妻の愛人の男性)と交際したことは、原告(妻)が原告と被告(夫)間の婚姻関係を破綻させたものと認定することはできず、仮に、別居後においても原告と被告間の婚姻関係が未だ破綻していなかったとしても、原告(妻)は破綻したと認識していたものであるから、右交際に入ったことに原告(妻)の責任は認められない…」
と判決は、夫の不受理申出に触れずに、不貞をした妻の離婚請求を認容しました。

  夫は、私どものアドバイスで弁護士を変え、高裁に控訴、最後は夫側に有利な条件で「裁判上の和解」という結末で事なきを得ました。

教  訓
離婚の意思がない場合、離婚の原因が納得できない場合、離婚には同意しているが条件が折り合わない場合、絶対に離婚届に署名押印しないこと。
  万一、離婚届に署名・押印してしまった場合、
1.市区役所に行き「離婚届の不受理申出」を提出
2.相手方に「離婚の承諾を取り消す」旨を手紙で通知する。

婚姻の破綻(離婚届に署名等)前に相手の不貞の証拠を確保すること。
  逆に言えば、相手の不貞の証拠を確保するまでは、同居を続け、絶対離婚届に署名押印しないこと。
  相手の不貞に気づかずに、性格の不一致ということで夫婦仲が悪くなり、婚姻が破綻に至ると、慰謝料は取れない。

「離婚届の不受理申出」が提出されていても、離婚裁判においては離婚届作成に至るまでの経緯、破綻の経緯が検討され、「不受理申出」は破綻後の行為として殆ど無視される場合もある。

長期になる離婚裁判は出来るだけ避け、調停迄で終結させること。

  

関連条文

離婚届等不受理申出の取扱いについて」 
 法務省民事局長通達 昭和51年1月23日 民(2)900号
  婚姻届、離婚届、縁組届、認知届等の受理を停止させる手続きについて。
 「離婚の意思がない者又はいったん離婚の意思を持って協議離婚届に署名したがその後離婚意思を翻した者が、協議離婚の届出がされるおそれがあるとして、右届出があってもこれを受理しないよう申し出たときは[この申出を「不受理申出」という。]、右申出を受け付けた後に提出された離婚届はこれを受理しないものとする。

家事審判法
第23条[合意に相当する審判]
婚姻又は養子縁組の無効又は取消に関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消の原因の有無について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し、当該合意に相当する審判をすることができる。
前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消、認知、認知の無効若しくは取消、民法第773条の規定により父を定めること、嫡出子の否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停にこれを準用する。

戸籍法第48条[受理または不受理の証明書・届書等の閲覧等]
届出人は、届出の受理又は不受理の証明書を請求することができる。
利害関係人は、特別の事由がある場合に限り、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し、又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる。
第10条第4項の規定は、前2項の場合にこれを準用する。


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